桜井洸希

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毎日のように残業をしている部下の姿。その光景で生ずる上司と部下の意識のすれ違いとは・・・?

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○上司は、毎日残業している部下のことは、能力が足りないのだと思っている。

○部下は、残って少しでも仕事を進めないと不安になるから、毎日残業している。

 

 

【上司の視点】

 終業時刻などお構いなしに、毎日のように残業している部下。忙しい時期ならともかく、そうでないときでも遅くまで会社に残って仕事をしている。こんな光景、どこの職場でも珍しくないことでしょう。しかし、この光景を巡って、上司と部下の間で意識のすれ違いが起こっています。

 上司は、毎日のように遅くまで残業している部下のことを、実は快く思っていないようです。もちろん、残業代が縮減されているような会社に限定されます。最近は、部下の残業が多いと上司の評価が下がってしまったり、短時間で効率的な成果が求められたりする会社も多いようです。「こいつは、能力が足りないから残業している。」このように思っている傾向が強いのです。仕事の役割や業務の分担を決めている立場の上司。本来だったら、日中の業務時間内に集中して仕事をこなせば、定時で帰れるように分担を決めているつもりです。ところが、日中に雑談していたり、ネットサーフィンしたりしている部下の姿がとにかく目についてしまう。人の悪い部分が目立って見えてしまうのが、人間の心理です。「あいつ、日中ベラベラ喋くっているから、定時で帰れないんだ!」そんな風に認識してしまう上司。部下のことを傍から見て、業務量に追われて遅くまで残っているのだとは理解していないようなのです。

 もちろん、一時的な多忙時期にやむを得ず残業することは、仕方ないと思っています。それでも、毎日遅くまで残られては、上司としても不利益が大きい。自分の管理部署の残業時間や残業代が多いと、もちろん評価はマイナス。しかも夜な夜な残業で部下に体調を崩されては、自身のマネジメント能力を上司の上司から追及されてしまいます。これでは、上司にとっては非常に面白くない。だからこそ、「残業するもしないもお前の能力次第。自分で工夫して定時帰りを目指してみろ!」という憤りを感じているのが本音のようです。

 

 

【部下の視点】

 一方で、部下の視点はいかがでしょうか。確かに、毎日のように業務量に追われて残業をしているのではないようです。それでは、何故、残ってしまうのか?それはどうやら、残って少しでも仕事を進めておかないと不安になってしまうようなのです。

 残業をする目的は、本来、どうしても今日中に仕上げなければならない仕事を終わらせるためであるはず。今日中に終える必要が無いのであれば、理論上、明日に持ち越しても全く問題は無いのです。ところが、上司の視線を感じ、常にプレッシャーを感じている部下。先のことを考えると、あれをやらなきゃならない、これもやっておいた方が良いのではないか、などと頭の中が不安で支配されてしまいます。その不安が焦りを生み、時計の針が定刻を刺しても、とてもスパッと帰る心境になれない。これは今日中に終える仕事、これは明日に回して良い仕事、という風にきちんと業務内容を整理できればいいのですが、不安が先立ち、その分別がつけられなくなってしまう傾向が強いのです。

 もちろん、ダラダラ残業することが良くないことは、頭では分かっています。それでも、人間は感情の生き物。理屈では定時帰りをしても問題ないことを理解していても、それ以上に不安をかき消したい気持ちの方が強くなってしまいます。つまり、残業することで、安心感を得ているケースが多いようなのです。その結果、定刻と同時にパソコンをログアウトすることはできず、残業の日々を送ってしまう傾向があるのです。

 

 

【すれ違いの解消方法】

 上司は、毎日のように残業をしている部下の姿を見て、能力がないのだと感じている。一方の部下は、能力の有無にかかわらず、仕事への不安を少しでも解消したいと思い、日々残業してしまう。このように、一見当たり前のような残業の光景を巡り、上司と部下は意識の中で大きなすれ違いを起こしています。これを放置してしまっては、最悪、両者は破滅的な関係になってしまいます。それでは、このすれ違いを解消するために、お互いどのような意識を持てば良いのでしょうか。

 上司は、部下に残業の理由をしっかりと聞いてみましょう。まずは、能力がないから残業しているのだと決めつけないことです。「今日は、どんな仕事で残業するの?」このように聞いてあげれば、例えば「来週月曜日のプレゼンの勉強をしようと思って・・・」というように、実は急務の内容ではない場合も多々ある。そのときは、「それなら、わざわざ残業してすることじゃないから。明日に回して良いから、早く帰りなさい!」と声をかけてあげれば良いのです。部下が何となく帰れない理由は、仕事に対する上司のプレッシャーが根元にある場合がほとんど。この一言で、プレッシャーから解放される。部下は安心して、パソコンを閉じ、退社することができるのです。

 一方の部下は、いかがでしょうか?ある医療機器メーカー勤務のJさん(20代/男性)は、面白い試みをしました。不安感から、何となく残業する毎日。ついにはそのことで課長から叱られたため、定時で帰らないとならない状況を作ってやろうと思ったのです。そして、上司に直接宣言。「課長、今日から一週間、一切残業しません!」言ったからには、守らない訳にはいきません。それから一週間、全く残業しないで、定時で帰ったそうです。日中は、必死に仕事をこなす。そして帰り際は「本当は、まだ残って仕事しなきゃならないんじゃないか…?」そんな不安も抱えながら、退勤。しかし3日、4日と経つごとに、その不安は徐々に消えていき、最終日金曜日は定時で帰ることが当たり前の感覚になっていたそうです。そのとき、なんと、こう思ったそうです。「毎日、定時に帰ったって、どうってことないじゃん!」残業することで誤魔化してきた不安。それは単なる杞憂でしかないと気付いたのでした。

 ただ、どうしても残業せざるを得ないときもあるでしょう。例えば明日の朝に提出しなければならない書類があるときなどは、頑張って残業して、その日のうちに仕上げてくださいね。もちろん、それは例外的な日なのだと、自分の意識の中で位置付けることが重要です!

 さらに言及すると、時間内に仕事の成果をあげることも、ビジネスマンの宿命。ダラダラしない、段取り良く仕事を仕上げることが重要です。ときには、自分でやらない勇気も必要です。他の人に仕事を任せる、ときにはアウトソーシングする、などの手段を考えることも有効だと言えるでしょう。割り切りとクールな決断も必要になってくるのです。

 

 

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